こんにちは、「オービット通信」編集長のパスカルです。皆さんは、今この瞬間も、地球から最も遠い場所を飛び続けている「孤独な旅人」がいることを知っていますか?
1977年に打ち上げられた無人探査機「ボイジャー1号・2号」です。彼らはすでに太陽系を脱出し、電波さえ届くのに片道20時間以上かかる「星と星の間の闇(星間空間)」を飛んでいます。そして、その機体には、ある「贈り物」が積まれています。もしもいつか、知的生命体がこれを拾ってくれたら……。そんな願いを込めた「ゴールデンレコード」を解説していきます。
ボイジャーって何をしているの?

まずは、この探査機のスペックについて簡単に解説します。1977年生まれで、 もう50年近く動き続けています。当時のファミコン以下のコンピュータで制御されていますが、驚くほどタフです。人類史上最速・最遠: 秒速約17km(ライフルの弾丸の20倍以上)で飛び続け、地球から240億km以上離れています。
宇宙人への手紙「ゴールデンレコード」

ボイジャーの側面には、1枚の「金色のレコード盤」が取り付けられています。それが「ゴールデンレコード」です。USBメモリやCDではありません。アナログな「レコード」です。これは、デジタルデータよりも「物理的な溝」の方が、宇宙放射線にさらされてもデータが消えず、長持ちするからです。その寿命は、なんと10億年以上と言われています。
ジャケットは「再生マニュアル」

レコードのカバー(表面)には、奇妙な記号が刻まれています。これは、「レコードの再生方法(針の落とし方)」を科学的に図解した説明書です。知的生命体なら、これを見て解読できるはずだ、という科学者たちの賭けなのです。
中には何が入っている?
ゴールデンレコードには何が記録されているのでしょう。
地球の音: 風、雷、波の音、鳥の声、クジラの歌声。
写真: 人体解剖図、食事をする人々、万里の長城など。
音楽: バッハやモーツァルト、チャック・ベリーのロックンロール。
挨拶: 55の言語による挨拶(日本語も有り)

ボイジャー1号が撮った最後の地球の写真

ボイジャー1号は、太陽系を出る直前、振り返って「地球」の写真を撮りました。それが有名な「ペイル・ブルー・ドット」です。広大な宇宙の闇の中に、ホコリのような小さな小さな青い点が写っているだけ。それが私たちが住む母なる惑星「地球」です。ボイジャーは、この地球を最後に、二度と戻らない旅に向かいました。
まとめ
ゴールデンレコードを地球外生命体が見つけた時には人類は滅びているかもしれません。しかし、このレコードが私たち人類が生きた記録であり、証しになります。今この瞬間も、ゴールデンレコードを乗せたボイジャー1号・2号は無限の宇宙へと突き進んでいます。
執筆者(パスカル)



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