はじめに
こんにちは!「オービット通信」編集長のパスカルです!
皆さんは、航空自衛隊に「宇宙作戦群(旧:宇宙作戦隊)」という部隊があるのをご存知でしょうか?
名前だけ聞くと、宇宙戦艦に乗ってビームを撃ち合ったりしてそうですよね。実は「現代の戦争になくてはならないあるもの」を守るために、24時間体制で宇宙を監視しているプロフェッショナル集団なんです。今回は、名前はSFチックだけど中身は超リアルな「宇宙作戦群」について解説します!
宇宙で戦うわけじゃない?

結論から言うと、彼らは宇宙船に乗って戦うわけではありません。 彼らの主戦場は、東京都府中市にある「航空自衛隊府中基地」にある「モニターの前」です。
最大の任務は「宇宙状況監視(SSA:Space Situational Awareness)」。地上アンテナや宇宙空間に設置する光学望遠鏡などの各種装置を用いて、以下の2つを常に監視しています。
宇宙ゴミ(スペースデブリ)の監視。
地球の周りには、壊れた衛星やロケットの破片など、無数の「ゴミ」が弾丸以上の猛スピード(秒速7〜8km)で周回しています。 これがぶつかると、大切な人工衛星が一瞬で破壊されてしまいます。 「ゴミがぶつかりそうだぞ!」と予測し、衛星に「避けて!」と指示を出す、いわば「宇宙の交通整理」が彼らの仕事です。
不審な衛星(キラー衛星)の監視。
最近は、他国の衛星にこっそり近づいて情報を盗んだり、ロボットアームで攻撃したりする「キラー衛星」の脅威が高まっています。 「怪しい衛星が日本の衛星に近づいていないか?」を常にチェックし、日本の目と耳を守っています。
なぜ宇宙作戦群が発足したのか

「宇宙の監視?地味じゃない?」と思うかもしれませんが、もし人工衛星が壊されたら、私たちの生活はどうなるでしょうか?スペースデブリだけでなく、他国(中国やロシアなど)が、敵の衛星にこっそり近づいてアームで破壊したり、妨害電波を出して無力化したりする「キラー衛星(対衛星兵器)」を開発しており、脅威は年々増しています。もし人工衛星が破壊されたらどうなるでしょうか。
- GPSが使えない: スマホの地図もカーナビも、ミサイルの精密誘導もできません。
- 通信ができない: 部隊同士の連絡が途絶え、離島への指示も出せません。
- 偵察ができない: 敵がどこにいるか見えなくなります。
現代の防衛において、「宇宙を制するものは地上を制す」と言われるほど、衛星は重要なインフラです。 宇宙作戦群は、「宇宙のインフラ」を守るために発足しました。
ロゴマークがかっこいい!

SF好きとして見逃せないのが、この部隊の「エンブレム(部隊章)」です。
右上が第一宇宙作戦隊「日本の部隊として和柄の市松模様、青海波をデザインに使用。 馬に似た伝説の生き物「ユニコーン」は日本ダービーの舞台として知られる 歴史ある「東京競馬場」の所在する東京都府中市とのつながりを表現」(宇宙作戦群)
右下が宇宙作戦指揮所運用隊「エネルギーの源である太陽と宇宙作戦群が担う宇宙作戦の指揮の根源となる指揮所運用隊をかけている。 太陽に重なるCは指揮統制 (Command and Control)のCをイメージ」(宇宙作戦群)
上真ん中が第2宇宙システム管理隊「エンブレムの色調は漆器の蒔絵をイメージ。 中央の「弐」は2シス管隊を、十字は宇宙作戦群のエンブレムから引用し「任務」を表す」(宇宙作戦群)
左上が第1宇宙システム管理隊「背景は任務領域であるサイバー空間を表す。 蛇は聖書において知恵を象徴する動物であり、知恵は善にも悪にもなりうる。 高い知力を駆使し戦う同部隊が悪い道に進まないよう戒める意味も包含する」(宇宙作戦群)
左下が第2宇宙作戦隊「日本の人工衛星などに対する妨害状況を把握するための装置の運用を担う」(宇宙作戦群)
それぞれに深い意味が込められてますね!見た目もSF心をくすぐられます!
まとめ
派手な戦闘機や戦車とは違いますが、宇宙作戦群は、静寂な宇宙空間で日本の安全を守る「宇宙の守護神」です。私達が普段GPSで目的地まで行けるのもを、彼らが宇宙を監視してくれているおかげと言っても過言ではありません。
宇宙作戦群 [Space Operations Group]|防衛省 [JASDF] 航空自衛隊
執筆者(パスカル)



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