こんにちは、「オービット通信」編集長のパスカルです。 カフェや電車の中で、周囲の雑音を魔法のように消してくれる「ノイズキャンセリングイヤホン」筆者も使用しており、電車やバスなどのうるさい環境でも音楽が鮮明に聞こえるので愛用しています。そんなノイズキャンセリングの始まりは、一般的には「BOSEの創業者が飛行機の中で思いついた」という話が有名ですが、実はさらにその20年以上前、1950年代の軍事研究に本当のルーツがあることをご存知でしょうか?
今回は、爆音渦巻くコックピットから生まれた「静寂のテクノロジー」の真実の歴史と、その仕組みについて解説します。
ルーツは1950年代。「ヘリコプターの爆音」との戦い

く語られる「1978年にBOSE博士が機内で思いついた」というエピソード。 確かにこれが製品化の大きなきっかけですが、技術としてのスタートはもっと昔です。元祖は「ノイズキャンセリングの父」フォーゲル博士 です。1950年代、アメリカのローレンス・J・フォーゲル博士という人物がいました。 彼は、ヘリコプターのパイロットたちが凄まじいエンジン音と振動に晒され、通信が聞こえずに危険な状態にあることを憂慮し、世界で初めて「音で音を消すシステム」を考案・特許出願しました。
同時期に米空軍研究所(AFRL)も、パイロット用のヘッドセットの研究を開始しています。 つまり、この技術は本来、音楽を楽しむためではなく、「パイロットの聴覚と命を守るための軍事装備」として誕生したのです。

どうやって消してるの?「逆位相」の物理学

では、どうやって「音」を消しているのか? その仕組みは、中学校の物理で習う「波の干渉」を利用しています。
- 騒音を拾う: イヤホンのマイクが、エンジンの「ゴォーッ」という音(波)を拾う。
- 逆の波を作る: その波と「真逆の形の波(逆位相)」を瞬時に計算して作り出す。
- ぶつける: 音楽と一緒にその「逆の波」を流す。
- 消滅: プラスとマイナスが打ち消し合い、「ゼロ(無音)」になる。
ジェット機の爆音だろうが、電車の走行音だろうが、この「逆位相ビーム」の前では無力化されてしまうのです。
軍から民間へ

50年代の軍事研究をベースに、それを小型化し、高音質なオーディオ用として完成させたのが、音響メーカーのBOSE(ボーズ)です。 彼らは1989年に航空機パイロット用のヘッドセットを発売し、その後、陸軍の戦車乗員用のヘッドセットなども開発しました。
私たちが今、手軽にノイキャンを使えるのは、軍の基礎研究と、それを実用化したBOSEの執念のおかげなんですね。
おすすめのノイズキャンセリングイヤホン3選
静寂の王様:Sony WF-1000XM5 ・1000Xシリーズ WH-1000XM6 WF-1000XM5 コンセプトサイト | ヘッドホン | ソニー
- 現在、世界最高峰のノイキャン性能を誇るモデル。「スッ…」と世界から音が消える感覚は、まるで防音室にいるようです。ちなみに筆者はこれを愛用しています。
2. コスパ最強:Anker Soundcore Liberty 4 Soundcore Liberty 4 | 欲しい機能をすべて搭載した完全ワイヤレスイヤホン | Anker Japan 公式オンラインストア
- 1万円台で買えるのに、機能は全部入り。初めてのノイキャンにはこれが最適解です。
3. 伝説の系譜:Bose QuietComfort Ultra Earbuds Bose QuietComfort Ultra Earbuds (第2世代) | ノイズキャンセリング、Bluetooth | ボーズ
- 歴史を作ったBOSEの最新フラッグシップ。特に「飛行機のエンジン音」のような低い騒音を消す能力は、さすが元祖「軍用ヘッドセット」のDNAを感じさせます。
まとめ
かつてはパイロットの命を守るための「装備品」だったノイズキャンセリング。 今では、私たちの「ストレス」から身を守るための必需品になりました。
毎朝の通勤電車でイライラしている方は、ぜひ、このノイズキャンセリングイヤホンを手に入れてみてください。 きっと、世界が変わるはずです。
執筆者(パスカル)



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