こんにちは、「オービット通信」編集長のパスカルです。皆さんは「宇宙の匂い」と聞いて、どんな香りを想像しますか？「真空なんだから、匂いなんてないでしょ？」と思いますよね。しかし、船外活動（宇宙遊泳）から帰還し、ヘルメットを脱いだ宇宙飛行士たちは、みんな口を揃えて「ある強烈な匂い」を感じると言います。それは、「焦げたステーキ」、あるいは「火薬」の匂い。今回は、なぜ宇宙がそんな「臭い匂い」がするのか、その正体に迫ります。
宇宙飛行士たちの証言「宇宙は〇〇の臭い」
・「焦げたステーキ、または溶接の煙」
多くの飛行士がこう証言しています。金属が焼けたような、香ばしくてちょっと危険な匂いです。
・「発砲した直後の銃（火薬）」
アポロ計画で月に行った飛行士たちは、月面で付着した塵（レゴリス）から「火薬の匂い」を感じたそうです。
・「ラズベリーの香り」
宇宙飛行士 山崎直子氏は、「ラズベリーのような匂い」と表現しています。
どうやら宇宙には独特な匂いがあるようです。
なぜ匂いがするの？
真空の宇宙空間に匂いの粒子が漂っているわけではありません。では、なぜ船内に戻ると匂うのでしょうか？ 有力な説は2つあります。
宇宙のホコリ「PAH」説
宇宙空間には、多環芳香族炭化水素（PAH）という物質が漂っています。これは、死にゆく星から放出される成分ですが、実は地球上でも「BBQで肉が焦げた部分」や「石炭」などに含まれています。
酸化反応説
宇宙空間には、紫外線を浴びてエネルギーが高まった「原子状酸素」が浮いています。これが宇宙服の表面に付着し、船内に戻って空気（酸素）に触れた瞬間、急激な酸化反応を起こして、あの「焦げ臭い匂い」を発生させるという説です。
銀河の中心は「ラズベリー」と「ラム酒」の香り？
天の川銀河の中心近くにある巨大な塵の雲（射手座B2）からは、「ギ酸エチル」という物質が見つかっています。この物質、地球上では何に含まれているかというと、ラズベリーの香り成分だったり、ラム酒の香り成分です。銀河の中心は「甘酸っぱいカクテル」のような香りで満ちている可能性があるのです。
まとめ
宇宙は意外と「身近な香り」でした。冷たくて無機質なイメージの宇宙ですが、その香りは「焼肉」や「ラズベリー」など、私たちの生活に驚くほど近いものでした。ちょっと宇宙に親近感が湧きました笑
執筆者（パスカル）
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